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2006年9月3日

2006/09/03

60:トフラー先生の読書法(囲い込み戦略-1)

アエラ(2006.9.4号)の表紙に、未来学者アルビン・トフラー先生が登場してPhoto_1 いた。歯科医院の待合室でぱらぱらとめくる。先生は通常、同時並行して6~8冊の本を読むそうで、いま大著の戦後ヨーロッパ史、ジハードの歴史、キリスト教と科学の発展との関係、バリー・アイスラーの雨の影、村上龍の69などを読んでいるという。先生は、こういう読書法のメリットを、テーマ間の意外な関係の発見に役立ち、新しい発想の展開にも役立つというようなことを述べていた。勿論、サスペンス本などは息抜きであろう。

実は私もこのような同時並行方式で読書していた時期がある。例えば、あるテーマに関して見解を纏めようと思う場合に、中央に置いたテーマ軸の周りに関連する本を数冊並べ同時並行して交互に読み進む。一見似たような内容の本でも著者それぞれの視点、力点があり、解釈も表現も異なる。いわば裏や斜めからテーマに迫ることになり、真っ正面から読むだけでは理解できにくい事柄が意外に良くわかるものだ。現在素浪人の私、勿論こんな読み方はしていない。テーマを「囲い込む」このような読書法は確かに効果があった。私はこれを「囲い込み戦略」と名付けることにした。

「囲い込み戦略-2」アスパラクラブの現状
アスパラクラブの最近の読者囲い込み戦略には呆れるばかりである。
朝日新聞を親の時代から読んでいる私は恐らく70年以上の読者である。しかし私は一度も販売促進商品などの「物」を貰った思い出はなく、また貰いたいなどとさもしい気持ちをもったこともない。数年前、愛読紙を2紙から1紙に絞る時、私は朝日新聞を残した。切られた新聞の販売店から「朝日新聞を自社紙に代えて呉れたら、これこれのサービスをする」というような申し入れが再三あったが、私は「好きで読んでいる新聞だから、そういうわけには行かない」と断って今日に至っている。

「アスパラクラブはこの秋2周年を迎えます。会員の皆さまへの感謝の気持ちを込めて、総計3万人に当たる「秋のサンクスキャンペーン」を実施します。アスパラクラブでは「旅行・レジャー」「くらし」「読書」など多彩なジャンルのコンテンツを提供しています。この度、コンテンツにちなんだアイテムをご用意しました。
現在会員はもちろん、10月31日までに入会された方もご応募できます。
ご希望の賞品を1つ選び、応募方法に沿ってお申し込みください」
と。

朝日新聞の「アスパラクラブ会員限定サービス」というなりふり構わない景品商戦には納得がゆかない。これが新聞読者「囲い込み戦略」であろうことは想像がつく。景品は何十インチという液晶テレビなどの豪華賞品もあった。その広告が日刊紙に堂々と掲載される。

実は私はこのクラブの発足(2年前)直後に一度入会し、すぐ脱会した前科がある。私はそのような事情からアスパラの機能を十分に理解してはいない。私はこのアスパラに双方向通信機能を期待して入会した。しかし一方的に情報提供されるだけで、私が日々の紙面に感じる疑問へのクイックレスポンス体制などはなかった。会員の数に比べてアスパラ関係スタッフ人員が少なすぎて対応出来ないのであろう。アスパラの現在の記事・内容であれば入会のインセンティーブを感じないので、そのままである。

このアスパラクラブで加入者が受けることの出来るサービスは次のように差別化されている。新聞の購読期間が長くなるほど、サービスが充実する仕組みである。例えば
★グリーン会員:入会時に朝日新聞を1年以上購読している人。この会員はすべてのサービスを利用できる。
★イエロー会員:入会時に朝日新聞の購読が1年未満購読の方。この会員はホワイト会員よりも多くのサービスが利用できる。
★ホワイト会員:朝日新聞を購読していない人。この会員は一部のサービスが利用できない。
こういった区分でサービスを差別化しようとする発想自体異常といえなくもないが、この程度の内容で新規に読者を開拓することに効果があるのか?と疑問が湧く。
こういう戦略で読者の新規開拓や定着を図ろうとするする前に、私のような何十年来の読者が愛想を尽かすことのないような配慮はないのか?新聞の本来のサービスは、適切な情報を正確・迅速に報道すると共に、報道の継続・解説なども徹底して展開し、判りやすく報道することによって、断片的Webコンテンツからの差別化を図るべきである

では今日具体的にどういう内容のサービスが提供されているであろうか?
「アスパラクラブは、朝日新聞社が提供する会員制サービスです。インター ネットの会員ページを中心に、会員の方に朝日新聞独自の情報やくらしに役立つ相談などのサービスを提供します」とある。
詳しくはhttp://aspara.asahi.com/で検索して貰えば判るが、項目だけを並べておこう。
サービス一覧 :
掘りだしお宿 ・ 電脳喫茶アスパラ倶楽部・ キレイ改造講座・ こども作文道場・家電ライバル対決・子育てすくすく相談・ 住まい安心術・ 現金プレゼント!・期間限定 金利優遇・野菜たっぷりイタリアン・ひとこと言わせて!・シミュレーション・ 金利優遇サービス・ベルマーク運動・遺言信託サービス・マネー相談・年会費(住信VISAゴールドカード)優遇サービス・新車&保険・引越し見積もりサービス・健康子育てホッとライン。
今日あらゆる情報が新聞・雑誌は勿論、ウエブの世界に溢れている。果たして上記のような情報に魅力を感じるであろうか?
 
あるBlogを紹介しよう。詳しくは次のサイトを見て欲しい。私の意見とほぼ同じであるが、専門家の意見として傾聴できよう。その一部を要約する。
http://www.planbiz.info/blog/archives/20050224_112511.php

「ブロードバンドが普及した現在、果たして新聞とニュースサイトは、当初の目論見通りに相互補完的に共存できているのでしょうか? よく言われる新聞と Web のシナジー効果は実現しているのでしょうか? 私の個人的な感想では、残念ながらNOです。朝日新聞とアサヒコムは、完全に共食い状態(カニバリゼーション)にあると思います。私の近くの人間を観察する限り、新聞を読む習慣のある人間は明らかに減少傾向にあります。理由は簡単です。ニュースをメインコンテンツとする限り、同じ内容であれば無料のネットを見れば済む話だからです。

こうした共食い状態を解消するために、朝日新聞のとりえる戦略の方向性は2つあります。1つは新聞紙面の充実です。単純なストレート・ニュースだけでは、サイトと差別化できません。土曜日の別刷りの「be」に代表される、特集取材読み物を新聞だけに展開する方法です(beの一部は、遅れてアサヒコムにも公開されるので、完全な差別化とはいえませんが)。新聞各社とも最近は、読み物風記事に力を入れているのには、このような背景があると思います。

もう1つの方向性は、ネットを利用して新聞読者を囲い込む方法です。そのために開設したのが朝日新聞の無料会員制サービスアスパラクラブです。登録さえすれば、誰でも閲覧可能なサイトですが、よく調べると朝日新聞の購読履歴に応じて3種類の会員種別があります…。
グリーン会員にしか提供されないサービスの具体的な内容がサッパリわかりません。ベネフィットが全く想像できないので、マーケティング・コピーとしては落第です。…アスパクラブは、販売店が配る洗剤などの景品での拡販競争に比べれば、王道を行くマーケティング戦略です。メディア企業はやはり、コンテンツの中身で勝負すべきです。しかしこの程度の会員制度が、長期新聞購読のインセンティブとして機能するかは疑問です。…あくまでも実際に会員限定コンテンツを見る前の勝手な予想ですが…」とあった。私がもうこれ以上述べることはない。

数年後、全面的にデジタルテレビ時代を迎えれば、テレビも双方向の意思伝達機能を持つといわれている。私がアスパラクラブに期待することは、IDとパスワードで守られた会員制であれば、不特定多数の書き込みを恐れる必要はあるまい。何百万人という会員の貴重な意見を新聞社のスタッフだけで整理、集約、対応することも所詮は無理である。会員相互の活発な意見をテーマ別のフォーラムのような形に層別・集約するシステムを作るなどが必要ではないか?もっと雅量のある新聞人の出現を期待する。(2006.09.03)

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